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一般的に、軽量かつコンパクトな三脚ほど、安定感や高さ、耐荷重などが乏しくなる傾向があります。
とはいえ、電車や徒歩移動が多い撮影で、「バッグに重くのしかかる三脚」によって体を痛めた経験を持つ人は多いですよね。僕もその中の一人です。
この終わらない三脚選びのジレンマにハマり、妥協で軽量三脚を使い続けてきた僕にとって、ようやく理想と思える三脚「Ulanzi & COMAN ZERO Y」に出会うことができました。
本製品のメリット・デメリットは以下の通り。僕が描いていたトラベル三脚像そのものと言っても過言では無いほどで、2022年の暮れに発売して以降、メイン三脚として活躍してくれています。
実際の使用感まとめ
- ミラーレス一眼+大砲レンズが載せられる十分すぎる耐荷重(5kg)
- 1.1kgと軽量ながら最大157cmまで高さを稼ぐことができる
- ペットボトル相当の細さに収まるため収納がすごく簡単
- (最大高のみ)やや安定感に欠けるのが気になる点
価格はカーボン製としては比較的廉価な約3万円。特にAmazonのセールでは割引対象になりがちで、格安で購入できる場合もあります。
個人的にはここ数年での周辺アクセサリー類の中でも指折りのお気に入りアイテム。旅行や遠征ロケなど軽量性・高さ・十分な安定性を求めたい方にはベストな三脚です。
Photographer
はろ
月間8万PVのカメラ系ブログを運営。子供撮影の趣味が高じ、副業カメラマンとしても活動しています。ご質問はコメント欄・お問合せ・DM等でお気軽にどうぞ。
カーボン製トラベル三脚「Ulanzi&COMAN ZERO Y」|スペックと外観
軽量・丈夫なカーボン製三脚であり、耐荷重5kgに対して本体重量は1.1kgと非常に軽い点が「Ulanzi & COMAN ZERO Y」の最大の特徴。
さらに折りたたみ時のサイズが非常にコンパクトであり、直径は500mlペットボトル相当と非常に細くなっています。
三脚の脚は最大18kgまで耐えられるため、バッグなどを重しとしてぶら下げることができます。カメラとレンズは雲台ネックで5kgが上限となっています。
スペック項目 | Ulanzi & COMAN ZERO Y |
---|---|
価格 | 3万円程度 (公式サイトで割引あり) |
高さレンジ | 15.3cm〜156.7cm |
重量 | 1.1kg |
雲台 | ボール型自由雲台 |
対荷重 | 三脚:18kg|雲台:5kg ミラーレス一眼と大砲レンズでもOK |
収納時のサイズ | 収納高:42.3cm(国内線機内持ち込みOK) 直径:500mlペットボトル相当 |
開脚角度 | 3段階(20°・55°・75°) |
脚の段数 | 5段 |
材質 | カーボン+アルミ合金 |
クリックリリースシステム | アルカスイス・F38・Ulanzi Claw(選択可) |
付属品 | 三脚収納ケース・ステンレス製石突*3 |
雲台のクイックリリースシステムはアルカスイスをベースに、F38・Ulanzi Clawに対応したモデルもラインナップされており、購入時に選択できます。
僕は普段からF38のクイックリリースシステムを使用していますが、F38のキャプチャーが家に余っていたことから敢えてアルカスイス型のモデルを購入しました。
F38クイックリリースシステムは、廉価に導入できるシステムとして非常にオススメできる製品です。初めて目にする方はぜひ以下の記事を一読していただければと思います。
「Ulanzi&COMAN ZERO Y」外観・インプレッション
外観面の最大の特徴は、折り畳み時のスリムさ。500mlペットボトルとほぼ同じ直径で、カメラバッグに収納する際もスペースと取らずあっさり収納することができます。
外観は全体的にマット&シックな印象です。3万円の三脚として十分な所有感を満たしてくれるクオリティがありますね。
操作感にこだわったレバー類の形状やツヤ消し加工された金属部の見た目が、個人的に非常に好みです。
5段脚の伸縮をコントロールするロックはレバー式。ナットロック式と異なり展開・収納を素早く行うことができます。また、締め忘れが目視で確認できる点もメリットですね。
雲台の操作感は非常に考えられており、レバー式のロックシステムによって親指1本で気軽に角度調整ができます。
ロックはレバー押し込み具合により強度が調整可能であり、強い力を加えずともしっかりとカメラを固定してくれます。
雲台の角度調整はセンターポールの伸縮状態で異なります。ポールを伸ばさない際は約20°程度の微調整が可能であり、ポールを伸ばした場合に360°の回転が可能となります。縦構図の撮影も可能です。
さらには雲台を固定した状態でも雲台が水平方向に回転するため、水平方向単独の調整が可能。画角の微調整や動画撮影時のパン撮影がやりやすく、非常に重宝する機能です。
最大高は157cm。脚とセンターポールを最大まで伸ばすことで、身長177cmの僕でもアイレベルで撮影できるほどの高さを稼ぐことができます。トラベル三脚用途であれば十分すぎるスペックといえますね。
センターポール伸長前|伸長後
なお、開脚角度は3段階(20°・55°・75°)で調節が可能で、もっとも足を広げた状態では15cmの超ローアングル撮影ができます。
なお、ローアングル撮影時にはセンターポールを分離する必要があります。やや面倒に感じるかもしれませんが、それでもセンターポールを逆差しするタイプの三脚よりもスピーディにアングルを変更できますよ。
分離の際には六角レンチを使い、雲台の上部からネジを差し込んで回すだけで分離することができる。
この作業に必要な六角レンチはセンターポールの先に隠されている。
付属品は三脚ケースとステンレス製の石突。特に三脚ケースはクオリティが高く、厚みのある生地とコンパクトさを活かすスリムな形状です。
デザイン・質感共にすごくかっこいい印象を受けますね。
「Ulanzi & COMAN ZERO Y」に関する外観・スペックの紹介は以上です。以降ではこのプロダクトをメイン三脚として使用してきた中で気づいたメリット・デメリットについて触れていきます。
「Ulanzi&COMAN ZERO Y」レビュー|実際に使用して感じたメリット
トラベル用三脚には、軽さ・背の高さ・耐荷重・安定性・収納性の5点が求められると僕は感じていて、「Ulanzi & COMAN ZERO Y」はこのどれもが非常にレベルが高いです。それぞれについて具体的なメリットを紹介していきます。
軽い筐体に反した十分すぎる耐荷重
「Ulanzi & COMAN ZERO Y」の耐荷重は雲台ネックで5kg。
昨今のミラーレス一眼はフラッグシップでも本体が1kg程度、レンズに関しては500mm越えの望遠ズームでも3kgキロには収まることから、トラベル用途においてはほぼ全てのカメラ&レンズを載せることができます。
これに対して三脚の重量はわずか1.1kg。僕の経験上、1.5kg越えの三脚は持ち運び時の体への負担が大きく、一日中歩き回る撮影では肩が真っ赤になる程辛い。
2日目にはカメラバッグを背負うことすら億劫になる程だったが「Ulanzi & COMAN ZERO Y」ではこの事象に出会ったことがなく、体への負担が非常に小さいと感じます。
圧倒的な耐荷重と軽量性、このアンバランスさが最高に気に入っています!
アイレベルから超ローアングルを1本の三脚でカバー
重いトラベル三脚から脱却を求め、以前、重量がわずか0.78kgの「SLIK スプリントMINI」を購入。
これはこれで気軽な持ち運びに大変重宝したが、109cmの最大高は僕の腰より少し高い程度で、障害物を超えることができない撮影シーンに多く遭遇し、利用頻度がみるみる減ってしまいました・・・。
一方で「Ulanzi & COMAN ZERO Y」の最大高は157cm。先日も花火撮影をベランダから行ったのですが、手すりを軽々超えてくれるため、最大高のありがたみを痛感したシーンのひとつでした。
また、ローアングル撮影(最低高:15cm)にも対応していて、広角レンズでのあおり撮影も1本の三脚で賄える点もお気に入りポイント。
持ち運びの負担が少ないコンパクト性
三脚をカメラバッグで持ち運ぶ際、サイドポケットに収納することが非常に多いかと思います。
しかし、直径の大きな三脚では脚が全て入り切らず差し込み時に手間がかかる上に、三脚が外側に膨れる分、どうしても重量が片側に寄ることで肩への負担が大きくなります。
一方で「Ulanzi & COMAN ZERO Y」は500mlペットボトルとほぼ同じ細さであるため、三脚用のポケットと言わず一般的なバッグのドリンクポケットにすっぽり収まってしまう。
本体重量の軽さも相まって長時間の徒歩撮影でも体への負担が非常に小さいゆえに、旅行や遠方への撮影ロケでは必ず持ち出しているほどにこの恩恵を強く感じます。
折り畳み時の高さ(収納高)を抑えた三脚は多いが直径を抑えたモデルは非常に少なく、その中でもコスパが高い「Ulanzi & COMAN ZERO Y」は非常にオススメですね。
所有感を満たす質感と快適な操作感
いくら機能が優れているとは言え、3万円の三脚にはそれなりの所有感を感じたいところ。この観点においても「Ulanzi & COMAN ZERO Y」は期待に応えてくれます。
(外観編で触れた通り)レバースイッチや水平調整用のノブの操作感、カーボン脚のサラサラとした質感、全体的にマット加工が施された金属部と外観と操作感が非常に良好です。
カメラ機材全般に言えることだが、良いものはずっと触っていたくなる。「Ulanzi & COMAN ZERO Y」にはそういった類のスタイリッシュさと高級感を感じます。
以上、ここまでが「Ulanzi & COMAN ZERO Y」を実際につかって感じたメリット面の紹介でした。
「Ulanzi&COMAN ZERO Y」レビュー|購入前にチェックしておきたいデメリット
ここまでベタ褒めしてきた「Ulanzi & COMAN ZERO Y」だが、一部デメリットを感じる部分も多少存在する。ここでは対処法を含めて内容について触れていきます。
最大高では安定性に不安を感じる
「Ulanzi & COMAN ZERO Y」を最大高にするためには、センターポールを伸ばす必要がある。このセンターポールが僕の親指程度と比較的細く、やや安定感に欠けると感じます。
特にカメラを操作した際に加わる振動によって、センターポールの根元からグラつく・・・。実際に倒れたことはないものの、強風の際には最大高は使えない印象ですね。
Ulanzi&COMAN ZERO Yに100-400mm F4.5-5.6 GMを載せてみた。
— はろ / はろログカメラ (@haroharo72) September 16, 2023
センターポールを最大まで上げると多少フラつくけど、ポールを半分くらいまで下げれば問題なさそう🫨 pic.twitter.com/H1WknMnfk6
実際に、超望遠ズームレンズを使う際や不安定な足場で撮影をする際には、センターポールを持つか、両手でカメラ操作を行うことにしています。実用面を踏まえると今後のモデルでは改善を期待したい部分ですね。
カメラを取り付けると水準器が見えなくなる・水平調整レバーが触りづらい
雲台に備わっている水準器はカメラを設置すると隠れる位置に配置されているため、カメラ設置前の水平・垂直調整にしか用いることができないのは惜しい点のひとつ。
また、水平方向のみを調整するためのレバーは、カメラ底部との距離が近すぎて指が上手く入らないとの声をしばしば見かけます。
これに対する対策して有効なのが、F38対応のクイックリリースプレートを使うこと。プレートが高さを稼いでくれるため、ノブ型レバーを操作するためのスペースを与えてくれます。
そもそもF38モデルを購入してもよいが、価格がやや高くなるため、個人的にはコスパ&着脱のスマート化も兼ねて、F38クイックリリースプレートと併用する方法をオススメしたい。
インプレッションの紹介は以上です。安定性と細かい操作感の部分についていくつか気になる点を上げたものの、軽さ・高さ・耐荷重・収納性の素晴らしさはこれを遥かに上回るメリットを与えてくれます。
持ち運びやすさと撮影の幅を最大限に与えてくれるトラベル三脚「Ulanzi & COMAN ZERO Y」
トラベル三脚は持ち運んで初めて価値を発揮する。その点「Ulanzi & COMAN ZERO Y」は持ち運びやすさと現地での撮影の幅を最大限に与えてくれます。
実際の使用感まとめ
- ミラーレス一眼+大砲レンズが載せられる十分すぎる耐荷重(5kg)
- 1.1kgと軽量ながら最大157cmまで高さを稼ぐことができる
- ペットボトル相当の細さに収まるため収納がすごく簡単
- 最大高の状態ではやや安定感に欠ける
3万円のトラベル三脚は決して安い買い物ではないが、今ではめっきり使用頻度の減った三脚たちに投じた金額で買うことができてしまうことを踏まえれば、はじめからこの1本を手にできれいれば・・・とも思う。
今日の外出は三脚が負担になりそう・・・と三脚にネガティブな印象を感じている方に、ぜひこの快適さを体感してもらいたい。