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皆さんこんにちは。フォトグラファーの「はろ(@haroharo72)」です。
今回は、2023年10月に発売された「Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD(Model A068)」について、タムロンさんからレンズをお借りすることができましたので、レビューをお送りしたいと思います。
このレンズは本当にすごい。最大の特徴は、超広角から標準域までカバーできるズーム域(17-50mm)の広さ。
これまでの常識では、超広角と標準域はレンズ交換ありきで使い分けるものだったところを、超広角も標準もこれ1本でカバーしてしまうお化けスペックのレンズです。
実際に1ヶ月程度使用して感じたインプレッションは以下の通り。
写真用途では、被写体を選びがちな超広角域での撮影機会を最大限に引き出してくれますし、もちろん動画でも使いやすい非常に良いレンズだと感じました。
実際の使用感まとめ
- 超広角の出番を最大限に引き出してくれるズーム域が広さは、他のレンズでは味わえない唯一無二のメリット
- インナーズーム対応・ブリージングが少なく動画撮影にもすごく使いやすい
- 寄れる・画質も優秀で描写は文句なし
- 超広角対応ズームレンズではコスパが群を抜いて優秀
- APS-C機でも使いやすい画角(換算24-75mm)はサブ機ユーザーにもありがたい
- 欠点:汎用性は高いが1本で全てをカバーと言えるものではない
スペックのみならず驚きなのがその価格。実売価格は8万円台のリーズナブル設定です。
画質・質感・利便性それぞれの面でとても考え抜かれた高コスパレンズとなりますので、まだ超広角レンズをお持ちでない方や超広角レンズの出番に悩んでいる方におすすめです。
今回も作例と共に実際の使用感をお伝えしていきますので、ぜひ最後までチェックいただければと思います
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はろ
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Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD(Model A068)|スペック・外観
「Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD」は超広角域の17mmから標準域の50mmまでをカバーするF4通しのレンズ。
APS-C機で運用した場合はフルサイズ換算25.5-75mmとして使うこともできます。比較的軽量な460gの重量、望遠側でも寄れる近接性能はタムロンのお家芸ですね。
スペック一覧 | 詳細 |
---|---|
焦点距離 | 17-50mm |
開放F値 | F4 |
絞り羽根枚数 | 9枚 |
レンズ構成 | 13群15枚 |
重さ | 460g |
最大径 × 長さ | 75 × 114 mm |
最短撮影距離 | 広角端:0.19m|望遠端:0.3m |
最大撮像倍率 | 広角端:0.21倍|望遠端:0.26倍 |
レンズ内手ぶれ補正 | なし |
防塵防滴 | 防滴のみ |
フィルター径 | 67mm |
レンズの外観
こちらは「Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD」を「SONY α7IV」に装着したもの。感覚的には焦点距離の割にはレンズが長い印象を受けますね。
インナーズーム(ズームをしてもレンズが伸びない)方式を採用されているため、ややレンズが長くなるんでしょうね
一方で、重さは460gと比較的軽く、ズーム時に筒が伸びないことから撮り回しはしやすい印象を受けます。
形状は、ここ最近のタムロンレンズに採用されているクビレのあるもので、リングの凸凹も旧来モデルより深く切り込まれていることから、指に引っかかりやすく操作感が良いですね。
しっとりとしたリングの触りごごちと手にフィットするレンズの形状が相まって、ずっと触っていたくなるような感覚を覚えます。
フィルター径はEマウントでは主流の67mm。NDなどのフィルターをレンズ間で流用しやすいよう設計されています。
レンズの側面には外部ボタンが一つ。このボタンは「Tamron Lens Utility」によって割り当て内容をカスタマイズすることができます。
僕はAF/MF切り替えを割り当てることが多いですね。その他にもフォーカスを一定速度で移動させる「A/Bフォーカス」などのオリジナル機能を割り当てることができます。
Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD(Model A068)|実際に撮影した作例
ここからは実際に撮影した作例を紹介します。ボディは「SONY α7IV」。「Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD」とのサイズ感もピッタリでサクサクとシャッターを切らせてくれました。
作例:JPEG撮って出し
こちらはJPEG撮って出しで、露出のみ調整したもの。高いコントラストから生まれる”抜け感・色乗り”の良さや、シャープ感がすごく気持ちいいレンズでした。
48mm f4.0 1/1000s ISO100
42mm f4.0 1/200s ISO100
50mm f4.0 1/125s ISO100
50mm f4.0 1/250s ISO100
28mm f5.6 1/125s ISO320
50mm f4.0 1/125s ISO400
17mm f4.0 1/60s ISO400
17mm f6.3 1/125s ISO400
17mm f7.1 1/125s ISO125
41mm f4.0 1/125s ISO125
18mm f7.1 1/125s ISO125
作例:RAW現像
こちらのRAW現像を行った作例。僕が作ったプリセット「Haro ALL in ONE Collection」を使用しています。
※編集時点ではレンズプロファイルが未対応であり、歪み補正未実施でお届けします。ご了承ください。
17mm f8.0 1/125s ISO160
18mm f4.0 1/30s ISO250
17mm f4.0 1/60s ISO500
17mm f4.0 1/40s ISO1600
50mm f4.0 1/50s ISO1000
17mm f4.0 1/50s ISO2000
25mm f4.0 1.6s ISO100
絞り開放でも広角端から望遠端まですごくシャープで美しい描写が得られるレンズですね。妥協のない描写性能に対して、価格はすごくリーズナブル。非常にコスパの高いレンズだと感じます。
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Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD(Model A068)レビュー|使用して感じたメリット面
正直、巷ではあまり話題になっていないように感じる「Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD」ですが、使ってみるとこのレンズの価値を感じることができました。
特に画角の広さは、超広角域の撮影体験を最大限に引き出してくれますし、画質や利便性の点においてもほぼ不満を感じることが無いほどに完成度の高いレンズです。
以降では、その中でも個人的に特に良いなと感じて点について触れていきます。
超広角の出番を最大限に引き出してくれる
約1ヶ月ほど「Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD」を使用して変わったことのひとつが、超広角域での撮影枚数が圧倒的に増えたということ。
実際に撮影した写真は作例パートで紹介した通りで、思い立ったタイミングで超広角の画が撮れるのはこのレンズならではの強みですね。
超広角レンズを持っている人ならわかると思うのですが、一般的に超広角レンズは被写体をかなり選びます。
簡単に言えば「縛り」を自らに課して超広角の取れ高を得るイメージで、それもあって「今日は超広角で撮ってやるぞー!」という気合いを込めて撮影することになります。
一方で、「Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD」はこそんなに気構えなくても超広角で撮れちゃうんです。
普段は標準レンズとして扱いながら、ハッと感じたたタイミングで超広角を繰り出す。このシームレスさがすごく便利で、超広角に対する心理的ハードルをグッと下げてくれます。
普段は標準レンズとして使いつつ・・・
思い立ったタイミングで超広角で撮ることができます
実際に僕が撮った写真の中では約4割が40mm以上の標準域。超広角と標準域が共存しているというのは、心理的&身体的に想定以上のメリットがありました。
交換レンズを持ち出さなくても良いので、機材構成もシンプルになりますよ。
四隅までよく映りボケも綺麗な気持ちいいレンズ
作例編でも触れた通り、このレンズは描写性能がかなり良いです。
広角端から望遠端にわたって、レンズ中心部からレンズ端まですごくシャープ。色乗りも良く、使っていて気持ちいいレンズでした。
中央部拡大(F4解放)
周辺部拡大(F4解放)
描写性能を定量的に示した「MTF曲線グラフ」に着眼すると、同じく17mmスタートの広角大三元レンズ「Tamron 17-28mm F/2.8 Di III RXD(model A046)」よりもシャープかつコントラストが高いことが確認できます。
逆光耐性も強く、フレアやゴーストも目立ちにくい点もGood。
前ボケ・後ろボケともに滑らかで、高級レンズラインナップと比べても遜色ないくらいに綺麗なボケ味が楽しめます。
玉ボケは若干年輪が見えますが、口径食が少なく円形で綺麗な玉ボケですね。
F4スタートではありますが、被写体にかなり寄れるため、フルサイズのボケ味を十分に楽しむことができますよ。
描写に関しては、8万円台のズームレンズでここまで写れば文句なしと感じるほど。撮っていて気持ちいいレンズです。
動画に使いやすい画角と文句なしの性能
動画撮影においても「Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD」はかなり使いやすい印象を受けます。
最新AFシステム(VXD)を積んでいることで、AFも純正レンズに引けを取らないレベルで速いですし、アクティブ手ブレ補正対応機種であれば、手ブレ耐性もバッチリでした。
ブリージングも極小、かつインナーズームにも対応と、かなり動画用途を意識したレンズに感じますね。
また、高負荷撮影時に画角がクロップされてしまう機種をお使いの方は、広角端17mmまで使える「Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD」はかなり安心感があると思います。
1.5倍クロップされても、広角端では換算26mm相当で使用することができます。
ズーム幅がかなり広いため、VLOGからYoutube撮影(手元撮影)など、画角を頻繁に変えたくなる撮影用途にもこれ一本で対応できるのはすごくありがたいですね。
APS-C機では標準ズームレンズとして使える
「Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD」をAPS-C機で運用する場合、フルサイズ換算 27-75mm相当、まさに標準ズームレンズとして使うことができます。
将来的にフルサイズへの移行を考えている方や、すでにフルサイズとAPS-C機を両方持っている方にとっては、レンズ資産を上手に活用する選択肢として有効な手段になりますね。
サイズこそAPS-C機に付けると若干長い感じもしますが、インナーズームレンズかつ軽量ということもあり、カメラとレンズの一体感をすごく感じることができて、これはこれでいい組み合わせだと感じました。
レンズの大きさに対して重量は軽いため、フロントヘビーな印象を感じることはなく、絶妙なフィット感があります。
以上が僕が「Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD」を使用して良かったポイントでした。
広角端17mmスタートでは前代未聞のズーム域、隅々までキレのある描写、動画に配慮された多数の機能など、10万円以下のレンズとは思えないほどに高いレベルのレンズであり、コスパと汎用性重視の方にはぴったりなレンズだといえますね。
レビューを通して感じた気になる点(欠点)
画質と携帯性、そして汎用性のバランスが非常にとれた「Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD」。正直、欠点らしい欠点はほぼ感じることはありませんでしたが、考慮すべき点はありました。
汎用性は高いが1本で全てをカバーと言えるものではない
「動画においては」望遠端50mm以上はあまり使う機会がない(手ブレも厳しくなる)ので、動画メインの方はこれ1本で十分撮り切れるかと思います。
一方で「写真撮影においては」望遠端が50mmでは少し寄り切れないと感じるため、望遠レンズと組み合わせたくなりますね。
特に中望遠の単焦点レンズと組みあせて持ち運ぶとかなり面白いと思います。僕の場合は明るい単焦点レンズでレンズ間のギャップを楽しんで撮影していました。
以前ご紹介した「FE 85mm F1.8(SEL85F18)」はサイズも小さくて、価格も安くてかなりおすすめです。
ご自身の用途やレンズラインナップにあわせて、広角側を補完する1本として活用するのがおすすめです。
暗所では明るいレンズが欲しくなる
僕も普段はF4通しのレンズ「FE 24-105mm F4 G OSS」を使用しているのですが、夜間や暗い室内では開放F4の明るさが物足りなく感じるシーンにしばしば出会います。
この写真も実はISO2000まで引き上げて露出を稼いでいます。
日中のほとんどのシーンはこのレンズ1本でカバーできる一方で、暗所で撮影することが事前に想定される場合は、明るい単焦点レンズと組み合わせるのがおすすめです。
明るい単焦点レンズをお探しの方は、ぜひこちらの単焦点レンズまとめ記事も参考にしてください。
特に気になった点は上記程度であり、ほぼストレスなく使用できる素晴らしいレンズでした。
まとめ:Tamron 17-50mm F/4 Di III VXDがおすすめな人
今回は超広角域〜標準域までを1本でカバーできる革命児とも言える「Tamron 17-50mm F/4 Di III VXD(Model A068)」についてレビューさせていただきました。
これまでの超広角ズームレンズとは違い、交換レンズを持ち出さずに1本で撮り切れることや、超広角域でのシャッターチャンスを多く生み出してくれるなど、非常にメリットが大きいレンズです。
実際の使用感まとめ
- ズーム域が広く超広角の出番を最大限に引き出してくれる点は唯一無二のメリット
- インナーズーム対応・ブリージングが少なく動画撮影にもすごく使いやすい
- 寄れる・画質も優秀で描写は文句なし
- 超広角対応ズームレンズではコスパが群を抜いて優秀
- APS-C機でも使いやすい画角(換算24-75mm)はサブ機ユーザーにもありがたい
- 欠点:汎用性は高いが1本で全てをカバーと言えるものではない
超広角を使ってみたいけど自分に使い切れるか不安を感じている方、家族とのお出かけなど荷物が気になる方には、ベストバイなレンズだと思います。ぜひみなさんも手に取ってみてはいかがでしょうか。